引越しで置き去りにされたピットブル。殺処分が迫るシェルターで涙を流しながら飼い主を待つ姿が人の心を打つ。

引越しで置き去りにされたピットブル。殺処分が迫るシェルターで涙を流しながら飼い主を待つ姿が人の心を打つ。

カリフォルニア州のある動物シェルターに、一頭のピットブルが収容されていた。元気がない様子で、ずっと、犬舎の金網の向こうを見つめているのだった。

ブルー・キングという名のこのピットブルは、ある家で1年近く飼われていた。そして、どんな事情があったのかはわからないが、その家族が引っ越す際に、シェルターに連れてこられたのである。

自分を置いていった飼い主を待ち続けるブルーの目から、涙がこぼれ落ちた。

そしてその涙は、たまたまその現場に居合わせたボランティアの人々を動かしたのだった。

涙自体は、おそらく何かのアレルギー反応によるものだろう、というのが関係者の見解である。

とはいえ、ブルーの悲しみは誰の目にも明らかだった。

そこで犬の保護活動を行っているボランティアの人々は、ブルーの動画を撮影し、シェルター施設のフェイスブックページに掲載したのだ。誰かが新しい飼い主として立候補してくれることを願って。

急いで新しい飼い主を見つけなければならない理由もあった。ブルーが収容されていたのは、「ハイ・キル」に分類される、公立のシェルターだったのである。

に民間団体によって運営される「ロー・キル」シェルターでは、ケガや病気で治療の見込みがない、といったような特殊なケースを除いては、動物を安楽死させることはしない。

だが、施設の収容数が限界に達してしまえば、新しい動物を保護することはできなくなる。

そのほとんどが公立である「ハイ・キル」シェルターは、日本の保健所と同じく、収容の要請があれば断れない。

しかし施設には予算や人手にも限度がある。そのため収容されて一定の期間引き取り手のなかった動物については、安楽死を施すことになる。そのあとに、また別の個体を収容しなければならないためだ。

ハイ・キル・シェルターに収容されていたブルーにも、一日ごとに「安楽死」が迫っていたのであった。

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