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近所の子供を襲った愛犬。「安楽死させた方がいい」という意見から、飼い主である女性が愛犬のためにとった行動とは。

近所の子供を襲った愛犬。「安楽死させた方がいい」という意見から、飼い主である女性が愛犬のためにとった行動とは。

昨年9月11日、英グロスタシャー州ケンブル在住のキム・キャノックさん(55歳)に飼われている1歳7か月のスタッフォードシャー・テリアの「ベンソン」が、当時9歳だった少年に噛みつき、一生消えない傷を負わせました。

少年の母親はキムさんの友人でもあり、互いに懇意にしている間柄。

この少年は頻繁にキムさんの家に遊びに行っており、事件が起こった日もいつものようにキムさん宅のプールで泳いでいました。

泳ぎ終わった少年は、台所で寝そべっていたベンソンの頭を撫でました。少年自身も数匹の犬を飼っていることから、その扱いには慣れていたよう。

しかしこの日、ベンソンは吠えたりうなり声をあげることなく突然少年に襲い掛かったのです。

顔を2か所噛まれた少年は地元の病院へ行くも、右頬の噛み傷が頬を突き抜けるほど深かったためブリストルの小児病院に搬送され、全身麻酔による手術を受けなければならなりませんでした。

少年の一家はキムさんを告発したくはなかったが「再び誰かが襲われたら」という恐怖もあり、ベンソンを安楽死させた方がいいのではという意向をキムさんに示しました。

しかしキムさんは、一度も獰猛な様子を見せたことが無かったベンソンを安楽死させてしまうことだけは避けたいという思いがあったのです。

この出来事は小さな村の間ですぐに噂が広まりました。

そこでキムさんはある行動をとったのです。

そこでキムさんは「放っておいてほしい」という気持ちを込めて、自身のFacebookに「ベンソンは安楽死させました。安らかに眠ってね」と投稿し、10月15日には遺灰を入れたベンソンの名前入りの木製の棺を警察にも見せるなどしてベンソンの死を偽ったのです。

そして同州コッツウォルズのメイジー・ハンプトンに住むある男性のもとへ密かにベンソンを引き渡していたそうです。

警察がサイレンセスターのコリニウム獣医院に問い合わせたところ、ベンソンを安楽死させていないことが発覚し、キムさんに事情を尋ねました。

するとキムさんはベンソンが新たな飼い主のもとで元気に暮らしていることを認め、「ショック状態の中で思わずしてしまった。少年の一家に嘘をついたことに対しては罪悪感があるけど、ベンソンはこれまで人を危険な目に遭わせたことがなく、まだ仔犬だったのでどうしても2回目のチャンスを与えてやりたいと思った。安楽死はさせたくなかった」と話したといいます。

今年10月10日に、チェルトナム治安判事裁判所でもキムさんは「家族に嘘をついたことを深く後悔している」と述べ、犬を危険な状態で放置していた事実を認めました。

ニッキー・ジェニングス検察官はこう語りました。

「被告はこれまで警察の厄介になったことがなく、基本的に良い人のようです。飼い犬を安楽死から守りたい一心で、尋常ではない行動をしてしまったといえるでしょう」

被害者家族や警察に虚偽の報告をしたにもかかわらず、結果的にキムさんはベンソンを家で飼うことも認められました。

しかし裁判所は、今後このような事故を防ぐためキムさんの家に16歳未満の子供がいる時は犬をケージから出さないこと、庭に出す時や散歩時には常に口輪をはめることという条件を課しました。

さらに少年への賠償金1,000ポンド(約148,000円)と裁判所費用350ポンド(約52,000円)、警察に虚偽の報告をした公務執行妨害に対する罰金120ポンド(約18,000円)の支払いを命じたのです。

それでも少年の母親は、「安楽死を勧めるつもりはないが、あの犬がまた誰かを襲うのでは」と不安を隠せない様子。

少年自身も学校の写真撮影時には傷のある顔を隠したがるほどだといいます。

参照元:metro

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