イタリアン・グレーハウンドの「ウィジー」は、カナダ西部のアルバータ州で保護されました。シェルターで安全に暮らしているにもかかわらず、なぜかウィジーはすべての存在に恐怖心を抱えていました。
音の出るオモチャ。小さなハエの音。些細な音にさえ、パニック状態に陥ってしまったのです。
おそらく、ウィジーを捨てた元飼い主が大きな音で威嚇してきたのでしょう。多くの犬種の中でも、神経質で繊細な性格の持ち主でもあるイタリアン・グレーハウンドにとってそれは耐えがたい苦痛だったのでしょう。
シェルターのスタッフがどれだけウィジーに愛情を注いでも、それを受け入れる様子はなく人に懐くどころか信頼さえしてもらえませんでした。
一度は里親が見つかり、引き取られたのですが、あまりに怯えるウィジーを飼育できないと、翌日に再びシェルターに戻されたこともあります。
そんなある日、サラ・マブロさんという女性がウィジーの里親を名乗り出ます。サラさんは車を2時間走らせウィジーを迎えにきたのです。
ウィジーを動物病院で診てもらったところ、心身ともにダメージが深いことが判明。ウィジーの口腔内はあまりにも酷い状態で、歯は2本しか残されていませんでした。
そのため、ウィジーの舌は口の中に収めておくことができず、いつもダランと口から垂れていました。
サラさんはそんなウィジーにありったけの愛情を注ぎ、ウィジーの回復を気長に待っていました。冷たく閉ざされていた心は、サラさんの温かさに触れて少しずつではありますが、溶けていきました。
そして3年が経った頃、ウィジーにある変化が現れます。
そして3年が経った頃。ウィジーは初めて吠えたのです。本来であれば犬の欲求吠えは良くない兆候ではありますが、ウィジーの場合は「家族になりたい」という欲求が発露した証でした。
3年という長い月日をかけ過去のトラウマを乗り切ることができたウィジー。そして、さらに嬉しい出来事は続きます。
サラさん夫婦に男の子の赤ちゃん「イヴァンくん」が誕生したのです。
すると、あれほど怖がりで人間に心を閉ざしていたウィジーが、イヴァンくんにだけはぴったりと寄り添い、まるで見守るような仕草を見せたのです。
家族に迎え入れられて3年。ようやくウィジーは人間を信頼できるまでに回復したのです。
サラさんはこう語ります。
「ウィジーはいつもイヴァンの近くにいるのよ。私たち以上にイヴァンのことを愛しているみたいね」
繊細なウィジーがイヴァンくんの側にいる時だけは、神経質になった事は一度もないそうです。
参照元:boredpanda