2014年の7月。アメリカ・オクラホマ州の中央部に位置するオクラホマシティーは、連日猛暑でした。その日も38℃という炎天下で、ある男性はその暑さの中、愛犬のブルテリアを連れて散歩に出かけたのです。
その途中、男性は突然倒れてしまい、そのまま帰らぬ人になってしまいます。通報があり、警察が現場に向かうとブルテリアは倒れた男性の横に不安げに寄り添っていたそうです。
警察が到着した時には飼い主である男性は、すでに息を引き取っていました。ブルテリアは倒れた男性の体に頭をつけて、懸命に起こそうとしていました。
警察としては、犬を飼い主から引き離さないことには現場の検証ができません。しかし、犬はそれを激しく拒みます。それでも警察官は首輪に手をかけ、力づくでブルテリアを車に乗せたのです。
のちに、亡くなった男性はロニー・ワードさん(73歳)であることが分かりました。そして死因は自然死だと断定されました。
この暑さが高齢のロニーさんに突然、死を引き起こしてしまったのかもしれません。
そして、シェルターに保護されたブルテリアは、突然飼い主がいなくなった悲しみで「うつ病」を発症してしまいます。
心にダメージを受けたブルテリアは、手足がぶるぶると震え、餌も拒否し、他の犬から吠えられてもなんの反応もできませんでした。
しかし、シェルターの動物福祉管理者のシェルダンさんは、こうした発症は決して珍しいものではないと言います。
私たちはこれまでにも自宅で飼い主が亡くなり、ご遺体のそばに寄り添うペットを保護したことが何度かあります。ペットたちは家族の一員として動かなくなった飼い主に不安を感じるのです。
うつ病を引き起こしていたブルテリアですが、シェルターのスタッフたちがロニーさんの親族に連絡をしたところ、5日後に引き取りに来てくれることになりました。
心が沈んでいたブルテリアですが、迎えに来てくれた親族の声を聞くなり、すぐに落ち着きを取り戻したのです。
どうやら、大好きだった飼い主のロニーさんとその親族の声が似ていたのです。飼い主を突然失い傷ついた心を救ったのは、「声」でした。
そして、安心したブルテリアはそのまま喜んで車に乗り込んだそうです。
参照元:YouTube