アメリカのオハイオ州の警察官ライアン・デイビスさんには、3歳になるジャーマンシェパードの「ジェスロ」という大切な相棒がいました。
ジェスロは小さい頃から様々な厳しい訓練を乗り越えてきた優秀な警察犬です。
しかし、2016年の1月9日に食料品店の不法侵入者の捜査中に犯人の銃に顔・肩・首を撃たれてしまったのです。犯人は現場から逃走し、その後、現場近くの庭で発見されました。
そしてジェスロは救急獣医に運ばれました。
銃弾は臓器や骨から外れてはいたものの、ジェスロは倒れた時に脳に損傷を受けていたのです。署のFacebookやInstagramでは、ジェスロが犯人に撃たれたことを伝え、多くの人に向けて「どうかジェスロに力を!」と訴え、ジェスロの回復を祈った世界中から励ましのコメントが寄せられました。
そしてジェスロにつきっきりで看病するライアンさんの姿に多くの人が胸をうたれたのです。
一時は容態が安定して回復の兆しをみせていたジェスロ。SNSでは「ジェスロはタフガイ!」というコメントもあり誰もが回復を信じていました。
しかし、翌日の1月10日。
みんなの祈りもむなしく、ジェスロは3歳という若さでこの世を去ってしまったのです。
SNSには悲しみの声が溢れ、多くの人がこのニュースを嘆き悲しみました。
ジェスロのことは多くのメディアでも取り上げられ、ジェスロのお葬式には何百人もの人たちが参列しました。
ライアンさんはジェスロのお葬式の際、こう悲しみを語りました。
「ジェスロはひたすらに忠実で、無償の愛に溢れていました。そして、私の大切な相棒であり片腕でした。初めてやってきた時から、ジェスロは私の家族の一員です。そして私は、他のどの家族よりもジェスロと一緒に過ごす時間が多かった。この喪失感はあまりにも深いです」
警察署にはジェスロの死を悲しむ人たちから2000通を超える多くの手紙が送られてきました。その中にライアンさんが大きく心を動かされた手紙があったのです。
その手紙は11歳に少女、アリソンちゃんから届いた手紙。まだ幼い文字の手紙には、彼女のお小遣いが一緒に同封されており、こう書かれていました。
警察のみなさんへ
ジェスロのことはとても悲しいです。私のおこづかいを送ります。これで防弾ベストを買ってください。みなさんと犬達に神のご加護がありますように。
子犬の頃からずっと一緒だったジェスロ。自分の体の一部のように大切な存在だったジェスロを失って落ち込んでいたライアンさんは、この手紙に胸をうたれます。
しかし、多くの手紙に埋もれてしまい、この少女と連絡を取ることができなくなってしまったのです。そこでFacebookを通じて呼びかけました。
すると、ジェスロの死を悲しみ、残された警察犬を思う優しい手紙が多くの人の共感を呼びシェアされました。そして、アリソンちゃんの家族と連絡を取ることができないのです。
こうしてSNSで多くの人が協力してくれたおかげで、ライアンさんはアリソンちゃんの家族と直接電話で話ができることになり、多くの人に感謝の気持ちを伝えたライアンさん。
そして、アリソンちゃんにも手紙のお礼の他にもうひとつ伝えたいことが。
それは、アリソンちゃんのお小遣いも含め、多くの募金が集まりK9チームの残る7匹の警察犬すべてに新しい軽くて動きやすい防弾ベストを購入できたということ。
アリソンちゃんの優しさに多くの人が心を動かされその思いに賛同してくれたのです。少女の思いが多くの人を動かし、警察犬に防弾ベストが行き渡りました。
参照元:newsnet5