アメリカのジョージア州の動物保護施設に「ビリージーン」という1匹のメスのピットブルが飼い主によって持ち込まれました。
メス犬は伝染性呼吸器疾患とフィラリアにかかっているばかりか、お腹は大きく膨らみ出産が目前に迫っていたのです。さらには歯の状態も悪く、体中に傷があったことから、飼育放棄され虐待を受けていたと考えられます。
飼い主は、妊娠したことをきっかけに動物保護施設に捨てにきたのです。
犬は安産とよく言われますが、それはあくまでも人間側からみた見解で、犬も出産時に命を落とすことは珍しくありません。
保護された時、ビリージーンは病気や虐待で衰弱していました。しかし、お腹の新しい命は待ってはくれません。動物保護施設に保護されてほどなく、ビリージーンは8匹の赤ちゃんを出産したのです。
しかし、心身ともに衰弱した母体から生まれたことによって、8匹のうち5匹の赤ちゃんはすぐに亡くなってしまいました。そして、ビリージーンも肺炎を患い、子育てをできる体じゃなくなってしまったのです。
そして、3匹の子犬たちは里親になってくれた動物保護施設のボランティアスタッフの手によって育てられることになりました。
ビリージーンが持ち込まれた動物保護施設が良質だったこともあり、命を落としかけた母犬には懸命なケアが施されました。
3匹の子犬には「ケイト」「フェルプス」「サイモン」と名前がつけられ、ケイトは引き取られてすぐに亡くなってしまいました。
そして数週間後。
ようやくビリージーンの体調が戻ったのを見計らって子犬を預かっていた里親の家に引き取られることになりました。
ビリージーンはしばらく離れていたにもかかわらず、子犬たちと対面するとすぐにお乳を飲ませます。
母として愛情をしっかりを子犬に与え、一生懸命育てる姿は、まさに天使のような美しい心を証明していました。
そして動物保護施設のボランティアをする里親の家に、もう1匹子犬が預けられます。この子犬は生後2週間のビーグルで、母犬の温もりとお乳が必要でした。
「きっと心優しいビリージーンなら、このビーグルの赤ちゃんを育ててくれるはず!」
こう話す里親さん。
そして、そっとビリージーンのそばに子犬を置いてみます。
期待通りにビリージーンはビーグルの赤ちゃんを自分の元に引き寄せ、我が子と分け隔てなくお乳を飲ませてくれたのです。
こうして3匹の子犬たちはみるみるうちに成長し、毎日元気に遊びまわっているそうです。
虐待を受け、出産を経験し、そして愛する我が子を失ったにもかかわらず、懸命に母として子育てをし愛情を与えるビリージーン。これからの彼女の生涯がどうか幸せなものであるよう願っています。
参照元:Facebook