今では日本人の2人に1人がかかると言われているガンですが、ガンは人間だけの病気ではありません。ペットの世界でもガンは増えているそうです。そこで今回は、今増えている犬のガンの主な7種類と、早期発見のために飼い主さんがするべきことをご紹介したいと思います。
(※2014年6月に公開された記事を再編集したものです。)
どんな腫瘍をガンというの?
- ・腫瘍とは
細胞がなんらかの原因で異常に増殖し、かたまりになったもののこと -
・良性腫瘍
細胞がゆっくり増殖してかたまりになり、周りの正常組織を圧迫していく腫瘍を言い、転移することはありません。 -
・悪性腫瘍
周りの正常組織を巻き込んで急速に増殖していく腫瘍。リンパ節、さらには遠隔転移をする。 細胞の種類によって以下の3つに大別される。 -
1.ガン
皮膚、乳腺、胃腸、唾液腺など、皮膚や、分泌腺のある場所の細胞が、ガン化したもの(上皮系悪性腫瘍)。 -
2.肉腫
骨、筋肉、脂肪などの細胞が、がん化したもの(非上皮系悪性腫瘍)。骨肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫など -
3.その他
上記2つの細胞はいくつもくっついて存在するのに対し、独立して存在する細胞が、ガン化したもの(独立円形細胞腫瘍)。
リンパ腫、肥満細胞腫、悪性黒色腫など
犬の3大慢性疾患は心臓疾患・腎臓病・悪性腫瘍(ガン)です。前者の2つは完治が難しく、食事療法や薬で状態を悪化させない治療が中心になります。一方ガンは、腫瘍を取り除くことが出来れば、完治する可能性が充分にある病気なのです。そのためには、飼い主さんがいち早く愛犬の異変に気づくことが大切なのです。
内分泌(甲状腺ガン)
首の周囲にしこりができ、腫瘍の90%以上は悪性 内分泌系組織中でとくに多いガンです。8歳をすぎたビーグル犬が圧倒的にかかりやすく、首の片側(または両わき)にしこりが出来ます。触って動くしこりであれば切除できますが、ほかの組織とくっついて動かない場合は切除が難しくなるため、早期発見がより重要になります。
骨(骨肉腫)
大型犬の足にできやすく肺へ転移することも 骨をつくる細胞のガンです。骨に負担がかかるとなりやすいため、大型の肥満犬に多く、おかしな歩き方が消炎鎮痛剤でも改善されないときは注意が必要です。肺への転移による死亡が多いため、足を切断後、抗がん剤治療を行うのが一般的です。
肝臓(肝細胞がん)
元気がなくなり、やせてきたら注意が必要です。体の中に出来る腫瘍のため、表面からは発見しづらいガンです。はっきりした症状がなく、ふだんより元気がなかったりやせてきたら、病院での血液検査と画像検査をしましょう。進行すると黄疸や嘔吐、下痢などの症状も出始めます。
造血器(リンパ腫)
体表のリンパ節が腫れ、食欲低下などの症状が見られる、血液中のリンパ球のガンです。いくつかある型値のうちもっとも多いのが、体表のリンパ節が腫れるタイプになります。食欲低下、元気消失など、どんな病気にも起こりうる症状が多く、発見が遅れることも。おもに抗ガン剤治療が用いられます。 若い犬もかかりやすいガンです。
皮膚(皮膚肥満細胞腫)
色も形もさまざまで、胃潰瘍を併発することもあります。皮膚の表面にできるガンでは一番多く、おできのようなものから、こぶのように大きなしこりまで、さまざまな形であらわれます。
肥満細胞が本来もつ働きが増殖により過剰になることで、進行すると胃潰瘍を併発し、吐血や死に至ることもあります。
肥満細胞は炎症を起こさせる細胞で、たとえば蚊に刺されたところが赤く腫れ上がるのは、炎症を起こして血行を促進し、回復を早めようとする肥満細胞の働きによるものです。「肥満犬だけにある細胞」と言うわけではありません。
口腔内(悪性黒色腫・メラノーマ / 扁平上皮がん / 線維肉腫)
口臭やよだれに気づいたら要注意 悪性黒色腫は転移しやすく、扁平上皮がんは進行すると骨にまで入り込むガンです。
線維肉腫は周囲へ入り込む力が強く、再発しやすいガンです。3つとも共通した症状があり、口臭がきつくなる、どろっとしたよだれが出続ける、よだれに血が混じるなどを発見したらすぐにかかりつけの病院で診てもらう必要があります。手術で切除できれば、完治の可能性もあります。
呼吸器(肺ガン)
初期症状が見極めづらく、進行するとセキなどの症状が見られます。目立った初期症状がなく、セキや苦しそうに呼吸をしていたら、かなり進行していると考えられます。健康診断時のレントゲン検査で見つかる事もあるようです。
異物の侵入を防ぐフィルターとなる鼻が短い短頭種に比較的よく見られるがんです。犬も人間と同じように、さまざまながんにかかる可能性があります。
年に1、2回は画像診断を取り入れて
ガンには体を触ってもわからないものもあります。 こうしたガンは、目に見える症状が出るまで見落としてしまいがちです。そうならないためにも、年に1、2回は問診と触診に加え、血液検査や画像検査を組み合わせることをおすすめします。発症率が固まる7歳以上のシニア犬がいるご家庭では、とくに心得ておくようにしてください。
犬のガンは、早期発見で完治する可能性があるのです。ガンと聞くと「不治の病」と言うイメージが先行しがちですが、決してそうではありません。愛犬を病気から守ってあげられるのは飼い主さんだけです。愛犬と1日でも長く楽しい生活を送るためにも、ぜひ参考にしてみてください。