2012年10月、大怪我のため緊急治療が必要な猫が、イギリスの新設されたばかりの保護施設「RSPCAカンタベリー」に運ばれてきました。
のちに「ノーマン」と名付けられた猫は、この施設に一番初めにやって来た保護猫でした。
ノーマンの怪我はとてもひどく、その日の夜を越えられるか分からないほどでした。しかし、スタッフ達の治療と看護のおかげで、無事に命をつなぐことができたのです。
施設でマネージャーをしているベス・ヒクソンさんはこう話します。
「ノーマンは施設に来る2〜3時間前、施設の近くにある家で見つかりました。彼は家の庭の壊れた小屋の脇に倒れていたのです。駆けつけた警官によって保護された彼は、この施設に運ばれてきました。それ以来、彼は私達と一緒に暮らしています」
「ノーマンはおそらく、車にひかれて大怪我を負いました。彼は自力で車道を離れて、自分の傷を癒すために、小屋の近くで安静にしていたのだと思います。幸いなことに、朽ちた小屋を取り壊しに来た人達によってノーマンは発見されました。」
ノーマンの治療とリハビリには数ヶ月もかかりました。しかし、ノーマンはいつも機嫌が良く、スタッフの言うことをしっかりと聞いていたそうです。
ノーマンが完全に回復すると、さっそく施設内のパトロールを始めました。
そして自然と、玄関で訪問者を出迎えるようになったのです。その姿を見たスタッフ達は、ノーマンにドアマンの役割を任せました。
そして、その後。
それ以来、ノーマンはずっと玄関を出入りする人達に笑顔を届けています。
スタッフ達はこれまでに約1,500匹の保護動物達が、新しい家に旅立って行くのを見送ってきました。
しかし、ノーマンだけは見送ることができませんでした。ノーマンは完全にスタッフ達と家族になり、施設になくてはならない存在になっていたのです。
「私達は彼を施設の猫にすることを決めました。私達はもう彼を手放すことができません。」
ノーマンは人間が大好きで施設のイベントにもよく出席しています。
「ノーマンはイベント中もたくさんの人達に挨拶をします。会場の入り口には彼専用のイスがあり、いつも一番最初に訪問者を出迎えてくれるのです。」
どうやらノーマン本人は、自分が施設の経営者だと思っているようで、いつもスタッフ達に目を光らせているそうです。
また、愛情深いノーマンは、困っている保護動物達にも優しく接しているそうです。
そして、たくさんの訪問者を迎えたノーマンは、夜になると自分のベッドで満足そうに眠りにつきます。
ノーマンは今日も多くの人に笑顔を与えているのです。
参照元:Facebook