犯人に腹を切り裂かれた警察犬。「警察犬を攻撃した者に刑罰を」と訴える。

犯人に腹を切り裂かれた警察犬。「警察犬を攻撃した者に刑罰を」と訴える。

今もその夜の出来事を鮮明に覚えているというウォーデルさん。彼はの取材にこのように語っている。

「私は容疑者に言いました。『どうか話を聞いてくれ。この犬と争うのは無駄な抵抗というものだぞ』と。ところが…暗いなかで私の目に飛び込んできたのは大きな金属性のものでした。さらに犯人はフィンの胸部から下に向けてそれをぐいっと引き、フィンの体は血で覆われました。狩猟用を思わせる実に巨大なナイフだったのです。」

「私の大事な犬が刺された―この野郎、なんということを…と動揺する私に代わり、フィンは力を振り絞って男の脚に噛みつき、激しくその体を振り回したのです。」

警察犬としての使命にあくまでも忠実であったフィン号。

バックアップの警察官が現場に到着し、すでに息も絶え絶えであったフィン号は24時間営業の獣医のもとに運ばれた。

ところがそこでは手術ができず、設備の整った別の医師のところに運ばれた時には翌朝4時にもなっていた。

このニュースは世界中に流れ、フィン号の命が助かるようにと誰もが祈りを捧げてくれたが、ウォーデルさんはとにかくやるせなかったという

「動物への虐待や傷害行為は、動物保護法(Animal Welfare Act)により最も重いものでも6か月の懲役が科せられるだけだ。さらに命懸けの捜査の前線にありながら、警察犬への攻撃に対しては『器物損壊罪』が適用されるのみだ。なぜ警察犬は犠牲になっても軽視されてしまうのか。そんなバカなことがあってよいのだろうか。」

なんと彼を刺した犯人は、裁判では窃盗罪についてのみ問われて服役生活はたった4か月で刑期満了となっていた。

ウォーデルさんはその事件をきっかけに、警察犬に攻撃する者があればそれについても罰することができるような新たなる法の制定を求める動きに出た。

その法案の名は「フィン法(Finn’s Law)」。オンラインでの嘆願書には数日間で13万人以上が署名し、議会に大変なプレッシャーをかけた結果、フィン号が瀕死の重傷を負ったわずか5週間後の2016年11月14日、国会でフィン法についての議論がなされた。

その結果。

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