2本足のボクサー犬「ダンカン・ルー・フー」を存知ですか?
前足だけで器用に走り回る元気いっぱいのダンカン(4歳)の姿はYouTubeやInstagramでも公開されており、SNS上ではちょっとした人気を誇っています。
米ワシントン州バンクーバーに、虐待・飼育放棄を受けた犬や障がいを持つ犬の救済&保護機関として活動している非営利団体「Panda Paws Rescue」があります。
この団体の運営者であり、ダンカンの飼い主でもあるギャリー・ウォルターズさんと婚約者のアマンダ・ギースさんは8月4日の夜11時頃、子供2人と3匹の犬を連れてアイダホ州のイエローストーン国立公園から宿泊先のアイランドパークに向かって車を走らせていました。
運転していたのは、仮免許証を取得したばかりのギャリーさんの息子ビースト君(15歳)でした。
暗い道の真ん中にバッファローが佇んでいたことに気付いたビースト君は、瞬時にブレーキを思いっきり踏み、ハンドルを切ってバッファローを避けようとしたのです。
しかし、その弾みで車は数回横転し、車内にいた3匹の犬のうち2匹が窓から投げ飛ばされてしまいます。
2匹の犬に怪我はなかったが、うち1匹がダンカンでした。
ダンカンは衝撃に驚き、怯えてそのまま現場から立ち去り行方不明になってしまったのです。
この事故でアマンダさんは脳震盪を起こし、打ち身と痣に見舞われ肋骨を骨折してしまいましたが、車が破損したにもかかわらずアマンダさん以外はみんな無事だったといいます。
しかし行方がわからなくなってしまったダンカンの安否が気がかりで、家族はすぐに同団体のサイトやFacebookアカウントでダンカンを見つけたらすぐに連絡してほしいと呼びかけました。
そんなダンカンは、後ろの2本足がX型に結合するという奇形で生まれてきました。
そのまま後ろ足を放っておくと脊髄を歪めてしまう原因になることから獣医師に切断を勧められ、ダンカンは前足2本での生活を強いられることになったのです。
ギャリーさんとアマンダさんは、そんなダンカンのために犬用の車椅子も用意しました。
しかしダンカンは前足2本だけで歩くことや走ることを覚えたため、その車椅子は障がいを持つ他の犬に寄付したそうです。
2本足で元気に暮らすダンカンの様子はSNSで拡散しました。
今回、そのダンカンが行方不明になったニュースを知った人々は、SNSで情報をシェアし一刻も早く見つかることを願っていました。
捜索には30~40人のボランティアたちが参加し、警察官も現場近くの住民らと一緒になってダンカンの行方を捜しました。
そして、その結果。
そのおかげで1人の男性が採石場の近くを走っているダンカンを見かけ、「Panda Paws Rescue」のサイトに掲載されていたアマンダさんの連絡先に知らせました。
事故から14時間後のことだったそうです。
事故現場から3マイル(約4.8キロ)ほど離れた場所で、茂みの下に体を丸めていたダンカンはギャリーさんとアマンダさんの娘ジェイドさんが名前を呼ぶと、顔を上げ走り寄ってきたといいます。
ギャリーさんはこう話します。
「脱水症状を起こしていたし肉球が傷ついていて、かなり疲れているようでしたが、たいした怪我もなく元気にしていました。ダンカンは真のサバイバーですよ」
その後、「Panda Paws Rescue」のFacebookアカウントに「無事に見つかりました! これで家族が揃いました」と安堵の報告をしたギャリーさん一家には、アメリカ以外の国の人々からも「本当に良かった!」といった声が多く寄せられました。
参照元:insideedition