ある日、アメリカ・サウスカロライナ州にあるショッピングモールの駐車場のゴミ箱に1匹の犬が縛られていました。
そして、その犬のすぐ隣には何やら書き置きが。
「子犬無料です。私の名前はスクーター。今日、飼い主は刑務所に行きました」
たまたま通りがかった夫婦がこの書き殴られた看板と犬を発見して驚き、こういう子を発見した時にどうしたらよいのか分からなかった彼らは、ひとまず写真と共にFacebookで共有してアドバイスを貰うことにしました。
すると、巡り巡って1人の動物保護の創始者である女性がその投稿を目にしました。彼女の名前は、ポーラ・ランフォード。ランフォードさんはすぐその夫妻に連絡を取り、犬を助けたいという旨を伝えました。
その後、あるガソリンスタンドで落ち合いスクーターを引き渡してもらったランフォードさん。
幸い、健康面は全く問題がなかったそうです。それどころか。実際にスクーターに会った彼女はあることに気付きました。
彼女が不審に思ったことがきっかけで「捨てられた1匹の犬」ではなく「別の真相」が明らかになったのです。
スクーターと共においてあったバッグはとても高価なものだったのと、その中には高価な首輪と食料。それにスクーターの毛並みはとても美しく、ノミ一ついませんでした。
その事からランフォードさんが確信したのは、スクーターは飼い主にとても愛されていた犬だったという事。
マイクロチップの情報によると、データは2015年から。コロラド州で発見され、翌年2016年に何らかの理由で行方不明になったスクーターは、フロリダ州で保護され飼い主の元へと帰りました。
残っているデータはそれが最後。そして何故か、今はサウスカロライナ州に居るのです。
謎の多い事態に、ランフォードさんは更に調査を進めました。そして遂に「刑務所に入った飼い主」を捕まえたという警察官と接触することが出来たのです。
そこで判明したのが、飼い主が逮捕されたのはあのスクーターが捨てられていたショッピングモールの駐車場だった事。
そして更にわかった真実。それは。
飼い主が逮捕された時、頭の中をよぎったのは何よりも愛犬の事でした。自分でシェルターにつれていくことも出来ないため、自分のバッグに餌と首輪を詰め込み友人に託しました。
「スクーターの安全を確保してくれ」
しかし、友人は飼い主を裏切りスクーターを捨てて、今回の発見に至ったのです。
そして、後にその友人2名には動物遺棄の容疑で逮捕状が出されたそうです。
無事に飼い主が分かった事により、その家族と連絡を取ることが出来ました。そして、スクーターは飼い主の母親の元で引き取られることに決まったのです。
ランフォードさんは約4245km。車で24時間以上もかけてコロラド州で暮らす飼い主の母親の元へとスクーターを連れていきました。
ランフォードさんには家族がおり、子どもたちもいました。それだけの時間を費やすのは容易なことではありませんでしたが、飼い主に大切にされていた犬の為に、どうにか時間を作り出向いたのです。
そして、母親と対面したスクーターを見た時、ランフォードさんはどれだけ価値が有ることを成し遂げることが出来たか実感したと言います。
捨て犬と思われた1匹の犬の形跡を細かく辿り、一番スクーターが幸せに暮らせる場所を見つけた彼女からは、より深い動物への愛情が伝わってきます。
参照元:thedodo