「サブ」という1匹のテリア犬が、あるシェルターで保護されていました。
その1匹の犬は大きな外傷を負っていました。実は、このテリア犬のサブは壮絶な経験をしていたのです。
サブが負った大きな傷は、ブルベイティングの道具として扱われていために負ってしまったもの。
ブルベイティングとは、見物人の前で雄牛と犬を対抗させる娯楽で、1853年には非合法となりました。この競技では、勝利を得るために薬漬けにされる動物もいるといいます。
サブを保護しているシェルターでは、安楽死をさせないというポリシーがあり、サブの里親を探し始めました。
するパディーさんという1人の男性が現れました。パディーさんは、たくさんの犬を助けた経験もあったのですが、いじめられていたサブが「新しい家族と打ち解けられるのか」という心配の声もありました。
パディーさんはそんなシェルターの様子に「自分の亡き父は、サブの飼い主と同じような人だった」と伝えました。
パディーさんも辛い経験を乗り越えてきたのです。
そんな経験があったからこそ、サブの里親に名乗りを上げたのでしょうか。そして、サブとパディーさん一家の新しい生活が始まります。
そして、家族になって最初の日。
新しい家族との最初の日、サブはキッチンのテーブルの下に潜り、全く動かなかったと言います。
パディーさんの妻のナタリエさんは「サブは犬のような振る舞いは一切しません。他の犬たちや周りの人との関わり方も知らなかったようです」と話します。
パディーさんはサブと一緒にテーブルの下で過ごしたと言います。
パディーさんの愛情を受け止め始めると、サブは自信を持つようになりパディーさんの後を追いかけるようになったのです。
また、マディーさんが飼っていた犬とも仲良くなれました。心の傷が徐々に癒える中、鼻や口、あごなどの外傷はまだ痛々しく残っています。
高額な治療は地元の人の寄付によって実現したそうです。様々な人たちの支えによってサブは生きているのです。
パディーさんはサブをドッグショーに参加させました。そして、驚くことにサブがファイナリストの候補犬に選ばれたのです。
ファイナリストの選考会は、10時間にも及ぶ長丁場となりました。そしてパディーさん一家は、その知らせを今か今かと待ち続けていました。
なんと、サブは見事に優勝したのです。
サブはパディーさん夫妻以上に興奮していた様子。そんなサブの姿を見てパディーさんの妻ナタリエさんはこう話します。
「サブは優勝したことに興奮しているのではなく、私たちが喜ぶ姿に興奮していたんだと思います」
サブの心に寄り添い同じ目線になって考えてくれる素敵な家族と巡り会えたサブ。同じ境遇だったパディーさんとサブはこれからも寄り添いながら幸せに暮らすことでしょう。
参照元:thedodo