長崎県の民家で不妊治療をせず繁殖を繰り返し、劣悪な環境にいた計50匹の犬を保護。

長崎県の民家で不妊治療をせず繁殖を繰り返し、劣悪な環境にいた計50匹の犬を保護。

長崎市内の民家で不妊治療をせずに繁殖を繰り返し、劣悪な環境に放置されていた小型犬のマルチーズなど計50匹を、ボランティア団体と市が保護していたことが8日、分かった。頭数が多すぎて適切な飼育ができない「多頭飼育崩壊」と呼ばれる状態で、ボランティア団体は「ネグレクトによる動物虐待。飼い主は責任を持って不妊治療をしてほしい」と呼び掛けている。

ボランティア団体「R&G長崎の保健所の命を救う会」(浦川たつのり代表)が4日に50匹を保護し、いったん市動物管理センターに収容。その後、ボランティア団体「長崎ライフオブアニマル」(木村愛子代表)がトリマーや動物病院に依頼して体の洗浄や治療などを行った。動物愛護活動を続ける女優の杉本彩さんもブログで支援を呼び掛け、7日までに全頭の譲渡先が決まった。

両団体によると、犬の飼い主は50代の女性で、別居する80代母親の家で放し飼いにしていた。数年前から母親が両団体の犬猫譲渡会に「里親を探したい」と子犬を持ち込むことがあった。多頭飼育が疑われたため、全頭譲渡や不妊治療を勧めたが応じなかったという。

今月4日、母親が犬を連れて譲渡会を訪れた際、「家にもまだいる」と話したため、救う会の浦川代表が自宅に同行。2階建ての中にオス36匹、メス14匹が放し飼いにされていた。長期間掃除されず、床がふん尿で埋まり、悪臭が立ち込める不衛生な状態。近親交配による繁殖で歩行障害があったり、衰弱したりしている犬もいた。浦川代表が母親を説得し、50匹全てを保護した。

ライフオブアニマルの木村代表は2011年以降、今回を含め4件の多頭飼育崩壊に関わった。うち3件は飼い主が不妊治療をしていなかったのが原因で、手術への抵抗感や費用の面から治療を拒んでいたという。木村代表は「不妊治療は動物の病気予防にもなる。地道に啓発するしかない」と話している。

◎愛護法罰則なし 「整備急げ」動物福祉協

環境省によると、「多頭飼育崩壊」に対する動物愛護法の罰則はなく、自治体が独自の条例に基づき飼い主を指導したり、ボランティアが引き取ったりしているのが現状という。日本動物福祉協会(東京)は「諸外国のように裁判所が飼育禁止の命令を出すなどの法整備を急がなければならない」としている。

同協会によると、多頭飼育崩壊は米国では「アニマルホーダー」と呼ばれ、研究が進んでいる。飼い主は50~60代の女性が多く、7割近くは自宅が不衛生で、排せつ物や死骸が放置されていたとする研究結果もある。日本国内でも「自治体からの相談は増えている」(環境省)という。

同協会は「ペットの不妊治療や譲渡を拒み続けるなど飼い主側に問題があり、解決には医療、福祉分野の連携が必要」としている。

参照元:nagasaki-np

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