ある日、アメリカのオハイオ州で暮らすピート・バイヤースさんは愛犬「エミー」と「ベラ」の2匹と一緒に、数日間の出張に出かけるための準備に取り掛かっていました。
しかし、その最中2匹は姿を消してしまったのです。
愛犬からほんのすこしの間、目を離してしまったのです。普段であれば「たったそれだけの間」のはずが、身も心も震えるような恐ろしい事件が起こってしまったのです。
エミーとベラがいなくなったことに気づいたピートさんは急いで2匹を探しに行きます。
周りを見てまわるものの、なかなか見つからず、友人や近隣住民の力も借りて捜索するも、かなりの時間が経過してしまいました。
するとその時。森の中から銃声と犬の鳴き声が聞こえてきたのです。
ピートさんの自宅のすぐ近くには森があります。
そこは時折、ハンターが狩りをしに来ているということもあり。ピートさんの頭にはすぐに最悪の事態が思い浮かびました。そんなことは考えたくありません。
しかし、ピートさんは銃声の聞こえた方を確認しに行かずにはいられませんでした。
ピートさんが銃声のした方向へと向かうと、そこに立っていたのはひとりの老人でした。彼の名前はマイケル・チェダスター。59歳のハンターです。
そして足元にはピートさんの愛犬であるエミーとベラの姿があったのです。
ピートさんは頭の中が真っ白になりました。しかし、できるだけ冷静に声をかけます。
この子たちは私の子なんです。あなたが撃ったのですか?
マイケルはこう答えます。
ええ、そうですよ!私がこの2匹を仕留めたんです。あなたの犬だったんですか?それでは新しい犬を2匹買いましょう。私にプレゼントさせてください。
彼の態度は全く悪びれる様子もなく、むしろ自慢げだったそうです。そしておそらく犬を人間と同じ「大切な命」として捉えていませんでした。
今回射殺した犬は飼い犬で、目の前にいる飼い主に向かって「新しい犬を買ってあげます」と言ったのだから。
そんなマイケルと一緒にピートさんは写真を撮ります。
この人(マイケル)が愛犬を殺したという事実を証拠として押さえておくためでした。
ピートさんはその後、この件を当局に連絡しました。
ほどなくして保安官らが到着し、ピートさんやマイケルの事情聴取が始まります。そんな彼らの足元に横たわるエミーとベラ。
数時間前まで家の中で一緒に過ごしていたはずの大切な家族。
そして、さらに驚くことにこの時点でマイケルは逮捕には至らなかったそうです。しかし、一緒に捜索したピートさんの友人や近隣住民を含めて大勢の市民が抗議しました。
そして後にマイケルは逮捕されます。重罪として有罪判決を受け、犬1匹につき刑務所に1年の収容と、5,000ドルの罰金になりました。
マイケルは「何かしらの動物を殺害したかった」と保安官に話したそうです。
ピートさんにとってかけがえのない家族。こんな別れに、殺害された相手からの「仕留めた」という言葉にひどく傷つき深く悲しんだと思います。
参照元:lifewithdogs