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虐待を受け車内に放置された犬を助けたのはネット。動いてくれなかった警察を動かすことに

虐待を受け車内に放置された犬を助けたのはネット。動いてくれなかった警察を動かすことに

ある日、パリ10区にあるルイ・ブラン駅から自宅へと帰宅途中だったテス・ディロウヤさんとモルガン・ルーカスさんは、車内に放置されたアメリカン・スタッフォードシャー・テリアを発見しました。

見慣れない1台のバンに気づき、中を覗き込むと力なくこちらをじっと見つめる1匹の犬がいました。

春だとはいえ、車内の日差しは強く車内は相当な温度になっていたと考えられるでしょう。ほんのすこしだけ窓が空いていましたが、お腹が空いているのか暑さのせいなのか、その犬はぐったりしている様子だったと言います。

犬をよくみてみると、頭や体には傷がたくさんあることに気づきます。2人は「虐待され捨てられたのでは」と考えます。

犬の表情と体についている傷に違和感を感じながらもその場は一旦立ち去り、数時間後に再び犬の様子を見にいくことにしました。

そして。

そしてやはり同じ場所にはバンが駐車してあり、中にいる犬は同じ様子でした。2人は窓の隙間から食べ物を入れますが水を入れることはでいません。

「このまま放置すれば死んでしまう」

これだけ長時間放置されている様子から捨てられたとしか考えられない2人は近くの警察に行き、保護の要請をします。

しかし、返ってきた答えは「許可なしでは出動できない」というもの。歯がゆい気持ちを抑えきれない2人は、せめて現場に行って犬を見て欲しいと伝えます。

しかし、その答えも「NO」というもの。

どうにもならない現実を前に、2人はインターネットにこの犬の写真を投稿することを思いつきます。

「ウォールにアップされた犬の写真を見れば、何らかの反応があるに違いない」

車の中から悲しい瞳でこちらを見る犬の写真を見たユーザーが一気に動き出します。わずか数分で100件以上のコメントが寄せられました。

動物保護団体の「Giapa」もその投稿を目にし、団体から警察に保護要請が入れられました。さらに、その時の投稿によって、ルイ・ブラン駅と警察に電話が殺到したのです。

さすがの警察も、事態の大きさに気づき出動せざるを得なくなり、ようやく現場へと駆けつけることに。そして、警官は窓ガラスを破り犬に首輪をかけ救出したのです。

車内からようやく救出された犬はかなりの衰弱状態。

そして、「ウォンテッド」と名付けられたこの犬は、保護当日は警察署で預かり翌日には保護団体のGiapaに移され詳しい診断が行われることに。

その診断の結果。

その診断の結果、全身の傷は明らかに虐待によるものと判明し右足は骨折して感染症による腐敗が進んでいました。ウォンテッドの命のためには後ろ足を切断するしかありません。

そして、ウォンテッドの医療費もテスさんとモルガンさんの呼びかけによってネット上で募金活動が行われ、募金額は600ユーロ(約7万円)が集められました。

ウォンテッドを虐待し放置した犯人はいまだに捕まっておりません。

テスさんとモルガンさんの2人が見過ごすことなく、警察に断られながらも、インターネットというツールを使い助けた1匹の犬。もし、インターネットがなければウォンテッドは助からなかったかもしれません。

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